スパイスは現代医学の源スパイスは人類発生のときから、薬草として、香油や薫香として、防腐剤として、さらには精力剤や回春剤として広く使われてきました。いわば、現代医学、薬学、化学、食品保存学の源ともいえるほど、人類にとってはなくてはならないものです。世界の歴史は、まさにこのスパイスをめぐって展開されてきた、といっても過言ではありません。 注目すべき四つの効果●薬理効果スパイスの薬としての効果は、太古より知られており、近代医学や薬学が発達するまでは、薬草として世界各地で盛んに使われていました。これは昔からの香りのいいものは善なるもので、悪魔や悪霊、伝染病を追い払うと信じられていたため、あらゆる病気に薬として用いられました。 ●防腐効果スパイスの精油成分(香りの本体)に、静菌(細菌の発育増殖を抑える)・殺菌効果があることは大昔から知られていました。たとえば、古代エジプトでは、死者の内臓を取り出したあとの腹腔を、シナモン、カシア、クミン、アニス、マジョラムなど香りよいスパイスの精油で洗い清め、腐らないようにしてミイラとして保存していました。 古代ギリシャ・ローマの時代には、コリアンダーが肉類の保存に用いられ、ミントが牛乳の腐敗防止に使われていました。このスパイスの防腐効果は、その香りの成分である精油にあるといわれています。一般細菌にはガーリック、クローブ、オニオン、シナモン、オールスパイスがよく効き、大腸菌にはオールスパイス、シナモン、カシア、クローブが効果的です。そのほかタイム、アニス、コリアンダーなども効果が強いです。しかし最近は食品保存・殺菌・減菌技術が発達し、スパイスの防腐効果を活用する分野は少なくなっています。 ●防カビ(かび止め)効果防カビ効果は防腐効果と同じように考えられていますが、かびや酵母に対してはバジル、ベイリーフ、シナモン、タイム、コリアンダー、ミントなどがよく効くようです。 ●酸化防止効果大昔のヨーロッパ狩猟民族は、獲物の肉の保存にディル、マジョラム、タイム、パセリなどのハーブスパイスを使いました。古代ローマ時代になると、コリアンダーやキャラウェイなどのハーブスパイスを使って、肉、特に油脂の酸化防止に役立てていました。 スパイスの各種効果
(引用元:味公爵) |