スパイスの有効成分
スパイスを料理に使う場合、漠然と加えていたのでは十分に効果が発揮されません。むしろ加えすぎることによって、逆効果になってしまうことがあります。「スパイスを使うと、どうしても薬臭くなる」といって、敬遠している人の多くは、その使い方に問題があることの方が多いです。
やはり、スパイスにはどんな成分が含まれていて、どんな効果が発揮されるかを理解することが、スパイスを使いこなす早道といえるでしょう。
たとえば、スパイスのなかで最高に高値といわれるサフランは、一グラム単位で高額な取引がされていますが、ピラフやブイヤベースなどを調理するときには、なくてはならないスパイスです。ピラフの黄金色やブイヤベースの色は、このサフラン中に含まれる色素成分(クロシン)によるもので、水には溶けるが油には溶けない性質を持ちます。当然このサフランを油料理に加えても、この黄金色は着色されません。
またパプリカは、サフランと同じように赤い色調を示しますが、含まれている色素成分はサフランとは異なるβ―カロチンです。このβ―カロチンはクロシンとは正反対で、油にはよく溶けますが、水には溶けない性質があります。
パプリカが、マーガリンの着色やビーフシチューやドレッシングなどの油料理の色付けに使われるのは、このためです。だから、サフランの代替品として、単純にパプリカを使うことはできないのです。使い方しだいでは、ある程度の代替効果は発揮できます。
このようなスパイスには、それぞれ効果を発揮させる有効な成分が含まれています。その効果を生かすためには、やはりスパイスの特性(成分を含む)を理解することが必要です。